第70回「りんどう句会」報告

第70回「りんどう句会」報告

(2023年3月27日(月)鎌倉芸術館にて開催)

70回句会は欠席投句2名を含む13名の投句で計39句、選句は⒕名で行いました。当月の兼題は千葉ふみこさん出題の春の季語「枝垂桜」。その容姿から糸桜とも呼ばれ、淡紅色の一重の花が天蓋の形で枝垂れる姿はとても艶っぽくて美しいものです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

千葉ふみこさんの「幾千の恋路見つめて紅枝垂」や、石川一洋さんの「秘め事を覆ふ如くに紅枝垂」は特にそのあたりの本意を印象的に捉えた句で多くの読者の共感を呼びました。

当季雑詠では、田村昌恵さんの「青信号園児手に手につくしんぼ」は「つくしんぼ」がとても効いていて可愛らしいとの声が多く、最高点の10点句となりました。

千葉ふみこさんの「咲き競ふ木蓮の白空の青」は見上げる高木の白木蓮と空の青との

対比が見事との評、また、福田くにもとさんの「草餅を食むのが先の寺参り」(古語では、食む=はむ、と読みます)の句には皆さん大笑いでした。

 3点以上の得点を上げた句は以下に掲げますが、それぞれの句を味わっていただければと思います。なお、ここには掲げませんが、無点句を含めた2点以下の句にも佳句がたくさんあります。会員それぞれのこれまでの人生経験や感性、好み、句歴等々の違いにより、選が分かれるのは俳句ではむしろ当然のことです。

次回は5月1日(月)(当初予定は4月最終週の月曜日の24日でしたが、都合により変更)開催で、兼題は浜崎かづきさん出題の「陽炎(かげろう)」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務局あてメールでお問い合わせください。お待ちしております。

【今月の高得点句(原句を一部修正。同点句は兼題優先)氏名は俳号

     (10点句) 青信号園児手に手につくしんぼ   田村昌恵 

     ( 8点句) 咲き競ふ木蓮の白空の青      千葉ふみこ 

     引越しの荷や車座の桜餅       吉崎明光

     ( 7点句) 幾千の恋路見つめて紅枝垂     千葉ふみこ 

     ( 5点句) 草餅を食むのが先の寺参り     福田くにもと

     ( 4点句) 秘め事を覆ふ如くに紅枝垂     石川一洋 

     糸桜地を掃くやうに吹かれをり    浜崎かづき

     ( 3点句) 老いてなほ華やぎ増して糸桜     高吉よしえ 

            春昼やうかうか歳を重ねをり     石川一洋

       (吉崎明光記)