第91回「りんどう句会」報告
(2024年12月23日(月)鎌倉芸術館会議室にて開催)
第91回句会は、欠席投句3名を含む19名の投句(計57句)と、欠席者による事後的な選句を含む19名の選句をいただきました。
当月の兼題は福田くにもとさん出題の「皸(あかぎれ)」。寒気に冒されて特に指など手の皮膚に細かい亀裂が生じる現象です。俳句はこのような言葉も季語になり、詩として成立し得ます。最近はかなり効き目のある塗り薬も売られていますが、昔は水仕事の多い母親の荒れた手を見て子供心に悲しい思いをした経験を持っている方も多いと思います。今回も兼題以外にも多くの佳句が寄せられました。
【今月の高得点句(3点句以上、原句のまま)、氏名は俳号】
(9点句) 禅寺へ駆け行く車夫の息白し 大塚かずよ
(6点句) 始まりは「ダリ」を観た日の夕時雨 千葉ふみこ
冬銀河億光年の詩人逝く 石川一洋
皸の母の手が繰る「みだれ髪」 田村昌恵
琵琶にのせ平家の悲哀散紅葉 田村昌恵
(5点句) あかぎれによめに決めたり見合いの日 小林としを
使ひ切る算段をして大根買ひ 浦野和子
(4点句) 小春日やうかうかと受く詐欺電話 石川一洋
書き込みをたどる暦や年の暮 浦野和子
雪国へこの青空を送りたし 高吉よしえ
(3点句) 楽せしも寂しさ少し賀状じまい 小林としを
孤独でも生きてゐるから大嚏 吉崎明光
綿虫のつかぬ間あそぶ無人駅 福田くにもと
次回、第92回の句会は2025年1月27日(月)13時から鎌倉芸術館会議室で開催します。兼題は石川一洋さん出題の「大寒(だいかん)」です。今年は1月20日が大寒にあたります。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。また、当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務局あてメールでお問合わせください。
(吉崎明光記)