第69回「りんどう句会」報告
(2023年2月27日(月)鎌倉芸術館にて開催)
第69回句会は全会員出席で14名、一人3句ずつ全42句の出句でした。当月の兼題は田村昌恵さん出題の春の季語「春光」です。
今回の最高点は、石川一洋さんの句「春泥や戦車の轍幾重にも」で、7点を獲得しました。ニュースで見るウクライナの悲惨な状況に思いを走らされ、戦争が早く終わって欲しいという気持ちになりますね。
6点句は吉崎明光さんの句が2句です。「サハリン遥か春望の利尻富士」は、「春望」が兼題「春光」の傍題です。稚内からの高速船上、利尻富士を眼前にしてサハリンへの思いをロシア領という気持ちも踏まえて詠んだそうです。3人の選者が特選に入れています。
「梅東風や見慣れぬ文字の絵馬二枚」は、「日ごろあまり目にしない文字で書かれた絵馬」というのが興味深いという選評がありました。作者は、「あるいはウクライナからの難民が支援者に案内されてお参りした際に、絵馬に願いを込めたものかもしれないなどと想像を巡らした、でも、二枚あるのは一人ではなさそう、と思った点に若干の救いも感じた」と説明していました。(「梅東風=うめごち」)
次回は3月27日、兼題は千葉ふみ子さん出題の「枝垂桜」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。
当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務局あてメールでお問い合わせください。
【今月の高得点句(同点句は兼題優先)氏名は俳号】
(5点句) 御神籤をまた引き直す受験生 前川たく
(4点句) 春の日や今日退院の夫を待つ 藪野詠子
病室に歳時記を繰る夜ぬくし 鈴木金平
盛り付けは備前に蕗の薹揚げて 吉崎明光
耳澄まし鳥当て遊ぶ春茶室 千葉ふみ子
(山田伸子記)