写真同好会 特別写真講座 報告


 写真同好会は第7回目の活動として19名の参加者を得て、
9月25日 「特別写真講座」を開催しました。
 お迎えした講師は原田寛氏。同氏は昭和46年法学部卒で、鎌倉稲門会会員。
長年奈良・京都をはじめ歴史的町並みを中心に、鎌倉の歴史と文化、自然の撮影を
ライフワークとされている著名な写真家です。
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 午前の部は、講師紹介の後「鎌倉の撮影・始めの一歩」と題する講義です。
ここではまず「フレーミング」の重要性を「三分割法」や「対角線法」などを
平易な用語で解説していただきました。
 被写体には主従があり、何が主なのかはっきりさせることが必要だという話です。
 紅葉と湖を撮るとき、画面の上半分に紅葉した樹木、下半分に紅葉が映り込んだ湖と、
二分割にするとどちらに感動したのか曖昧になります。紅葉が美しいと思ったら、
画面上3分の2に紅葉、下3分の1に湖を配したフレーミングすることが大切で、
映り込みに感動したのなら、その逆にフレーミングしたらよいということです。
 分割線が斜めになれば「対角線法」で、考え方は「三分割法」と同じ。
このようなことを黒板に図で示しながら解説していただきました。
 また、「アドレス」の重要性も述べられました。つまり、どこで撮った写真なのか
わかることが古都撮影では重要だということです。手前に忍野、向こうに富士山という
写真をよく見ますが、主は忍野であり、富士山は背景です。
 鎌倉だったらどうするか。鎌倉を撮るのであり、鎌倉で撮るのとは違うことを
考えようということでした。このような話を講師の写真集の中の写真を示して
解説していただいたので、受講者は納得の面持ちで傾聴しました。
 さらに、写真を撮る上での注意点の話が続きました。その一つは、風景写真では
白い空を入れてはいけないというものでした。人は明るいものに目を奪われるので、
自分の訴えたいものが弱まるからという理由です。 講義はカメラの設定にも話が及びました。
ピクチャーコントロールの設定は、古都撮影では「風景モード(ビビッド)」が良いとのことです。
ビビッドとは RGB(光の3原色で Red, Green, Blueのこと)を濃く描写する設定です。
 パソコンで画像処理をする人は、必要に応じて自分で彩度を調整しますが、
自身で画像処理を行わない人にはビビッドが良いということです。
 また、ホワイトバランス(WB)にも言及されました。WBとは白を白に描写するための機能です。
明け方や夕方は色温度が低いので、赤みをおび、雨天では色温度が高いので
青みをおびた画像になります。
 原田講師は、オートではなく、太陽マークに設定することをすすめられました。
太陽マークとは晴天の昼間に、白い物を白く描写する設定です。これに設定すれば、
カメラが自動的に補正することなく、明け方や夕方は赤みをおび、雨天では青みをおびた、
自然な写真が撮れるということです。
 このように、講義は初心者を念頭に置きながら、ある程度の知識のある受講者まで
興味を持たせる、内容豊かなものでした。
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 午後は撮影の実技指導です。向かった場所は宝戒寺。午前の講義がさっそく効果を表しました。
ハギは晴天より雨天・曇天に撮るのが良いとのことです。そこで日陰のハギを前に
「三分割法」や「対角線法」の実体験です。講師の撮った作例をモニターで確認し、
それを自分も同じようにやってみるのです。何だか自分の腕が上がったような気分でした。
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 この講座を通じて、今まで漫然と撮影してきたことに気づき、基本を知ることで、
見栄えのする写真になることに改めて納得した受講者も多かったようでした。
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 午後3時、原田講師と助手として同行された奥様に拍手でお礼を申し上げ、散会しました。
                             (文・小林敏二)
下記の写真は、原田先生が受講者のカメラを使って撮影したものです。
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田村昌恵さんの作品
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