第79回「りんどう句会」報告

79回「りんどう句会」報告

20231225日(月)鎌倉芸術館会議室にて開催) 

78回句会は10名の出席、3名欠席投句で、3句ずつ全39句の出句、13名の選句でした。当月の兼題は手島廉雲さん出題の冬の季語「師走」です。

下記掲載の今月の高得点句のように、師走・年の暮の生活や感慨を的確に表現した句が出揃いました。

最高点8点句の、前川たくさんの「凍て風や手提げ一杯処方薬」には、「私なんぞ、薬屋が開けそうですもの」などの選評もありましたが、高齢者揃いの句会メンバーの全員が共感したようです。同じく、前川たくさんの「百円の借り」の句も何とも可笑しみを感じさせます。本当のところはもっと金額は大きかったようですが、俳句の滑稽味を創作したものです。

 そのほか、下記には掲載していませんが、いずれも石川一洋さんの二点句「お互ひに二番手として逢ふ聖夜」(お互いに本命を逃がした者同士の聖夜のデート)、「病院に手錠の男ゐる師走」(私は新幹線の中でその状況を目にしたことがあります。このような光景も俳句では詠めます)もユニークでオリジナル性の高い句でした。

 また、4点句の北村拓水さんの「句と遊び友と遊びて年暮るる」は、同窓の同好会である「りんどう句会」の楽しさを年末に改めて総括するものとして、ズバリの句でした。 

次回は2024129日(月)、兼題は安藤宗幸さん出題の「賀状」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務局あてメールでお問い合わせください。

【今月の高得点句(一部修正、同点句は兼題優先)氏名は俳号

 (8点句)   凍て風や手提げ一杯処方薬     前川たく

 (6点句)   師も友も土に還りて年暮るる    鈴木金平

 (6点句)  百円の借り思ひ出す師走かな        前川たく   

 (5点句)  裏金も千億も夢おでん酒        吉崎明光

 (4点句)  どの家も植木整ふ師走かな      藪野詠子

 (4点句) 子供らの影なき団地花八手      福田國幹

 (4点句)  句と遊び友と遊びて年暮るる     北村拓水

 (3点句)  師走とて常と変はらぬ老の家       高吉よしえ

   (3点句)  心までほっこりぽかり柚子湯かな   藪野詠子

   (3点句)  五十年変わらぬ顔と晦日蕎麦     鈴木金平

      (吉崎明光記)