第60回「りんどう句会」報告
(2022年5月30日(月)鎌倉芸術館にて開催)
第60回句会は、芸術館に12名の会員全員が集まり、一人3句で全36句の出句でした。当月の兼題は前川たくさん出題の夏の季語「冷奴」です。
俳句は同じ句がそれを読む人によって解釈が自由になされるところから、作者の思いとはかけ離れた解釈があったり、男性と女性によって二つの異なる解釈に分かれたりすることがあり、今回も「冷奴」を料理する側に立った解釈とそれを食べる側の解釈があったりで、句会は盛り上がりました。一方、最高得点3句のうちの福田くにもとさんの「冷奴八十路越ゆれど角立ちぬ」は、何歳になっても角が立ってしまいますねえと、意見は割れることなく、妙に一致しました。このように句会では、作者が誰かわからない段階で遠慮なく自由に意見を述べ合い、とても民主的です。
次回は6月20日、リアル句会の予定で、兼題は鈴木金平さん出題の「梅雨寒」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。
当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。
【今月の高得点句(同点句は兼題優先)一部修正済 氏名は俳号】
(6点句) 冷奴八十路越ゆれど角立ちぬ 福田くにもと
さみだれや止まぬ隣の痴話喧嘩 鈴木金平
しやがの花寺の坂ゆく老佳人 千葉ふみこ
(5点句) 床下に走るみずおと夏料理 浜崎かづき
(4点句) 明日閉ぢるなじみの店の冷奴 田村昌恵
香水をつけて少女を終へにけり 浜崎かづき
見守りし雛の巣立ちや風優し 田村昌恵
葉桜の下に古道の道標 福田くにもと
(山田伸子記)