12月4日(金)、前日の雨も上がり、風は強いが空は青い。定刻9時、小田原駅に18名が集合し、大雄山鉄道に乗り、終点の「道了尊駅」で下車。ここからバス10分で最乗寺に到着。
当寺は14世紀末、了庵慧明(えみょう)禅師により開かれた曹洞宗「総持寺」直末寺。寺域128haというから、正方形にすれば約1,100m四方にもなる広大さだ。しかも起伏のきつい山の中だから、ポイントを絞って回る必要がある。
わたしたちが歩いたのは、「瑠璃門」→本堂「護国殿」→開山堂「金剛壽院」→「鐘楼」→「多宝塔」そして「和合下駄」や「天狗化身像」がまつられた道了尊者伝説ゆかりの場所である。
「瑠璃門」付近は境内一の紅葉の見所と聞いていたが、残念ながら落葉後であった。
本堂は、昭和29年の再建。本尊は釈迦如来、脇侍は文殊・普賢の両菩薩である。開山堂には開祖慧明禅師像や歴代住持の像・牌がまつられている。本堂とともに昭和の木造名建築として評価されている由。鐘楼は、四方の柱に見事な彫刻が施されている珍しいものであった。多宝塔は、方形の初層の上に円筒形の上層が重なっているのが特徴。ここの多宝塔は、江戸時代末期の築で境内最古の建物とのことである。
左から 三門手前のイチョウ 本堂 多宝塔
最乗寺には古来「天狗伝説」が伝わる。慧明禅師が当寺を開くと知った弟子の道了は、近江から天狗の姿になって飛来し、その怪力で寺の創建に助力したという。師の没後は寺門守護と衆生救済を誓って天狗となり、山中深く飛び去り、以来最乗寺の守護神となった。
道了伝説ゆかりの場所には、この話にちなんだ天狗像や本地といわれる十一面観音像、そして和合下駄がまつられ、周囲には奉納された高下駄などが並べられている。和合下駄というのは、天狗→高下駄→左右一対→和合ということなのであろう。
道了伝説ゆかりの場所
11時過ぎ、次の訪問地「アサヒビール神奈川工場」へ向った。ここから会員1名が合流。
当日は、工場施設の整備のため、製造ラインの休止日であった。そのためか、広い工場の中、他の見学者も少なく、説明役の方の引率で十分な解説を聞くことができた。
まず、映写室で短い映画を見た後、仕込室、原料展示場、濾過室、発酵・成熟タンク、瓶詰缶詰施設の順序で案内をいただいた。数か所にバーチャルビジョンが設置され、実際の作業状況も手近にわかる仕組みである。
大麦を芽や根が生えた状態で乾燥させ、その芽や根を取り除いたものが「麦芽」。これを粗く砕いてお湯を注ぎ「麦汁」を作りさらに発酵させる。この段階では多くの酵母や微生物が残っているので、かつては低温殺菌して除去していた。しかし近年、濾過だけでこれらを除去できるようになったので、熱処理する必要がなくなった。これが「生ビール」だということだ。工場の屋外に設置されたタンクは、高さ20m容量500キロリットルで、350ml缶143万本分だ。1日1本飲んだとして、4,000年かかる計算だ。ここの工場には、これがなんと50本もある。
タンク群
約1時間の見学の後、試飲である。案内された部屋のドアには「会議室」とあった。一般見学者は試飲ホールで、時間と数量の制限付きだが、わたしたちはアサヒOBの落合幹事長のご手配で特別待遇である。
まず提供されたのは「スーパードライ」。同幹事長から「本日は紅葉は終わって残念でしたが、ビールを飲んで皆さんが紅くなってください」と、挨拶があり、田村副会長の発声で乾杯。
日本人に「ビールはのどごし」というイメージを定着させた元祖のビールである。最高のコンディションで飲めば、ひときわスッキリ、のどに爽やかだ。次に試したのは「スーパードライプレミアム」。「スーパードライ」の特性を保ちながら、味わい深さも楽しめる、ぜいたくなビールだ。少し重めのつまみでじっくり飲みたいものだ。そのほか、「スーパードライブラック」や、「ベル・ビュークリーク」という、ベルギー独自の自然発酵製法による少々甘めのビールを試したメンバーもあった。
試飲風景
ほどほど酔ったところで、昼食は工場に隣接した「アサヒビール園」で、足柄牛の焼肉である。肉が香ばしく焼けてくれば、再びビールが欲しくなる。
午後2時過ぎ、十分満足した胃袋を抱えて集合写真を撮り、のち帰途についた。
(文:小林敏二、写真:手島簾幸+小林)
参加者(五十音順・敬称略)
上野尚博、梅原誠子、江副路子、小高俊明、落合理史、春日桂太郎、小泉親昂、小林敏二、高橋健治、田村昌恵、千葉文子、手島簾幸、内藤美也子、長坂洋一夫妻、福山裕子、前田陽子、前田陽二、和田高明 以上19名